オーバーロード 13

オーバーロード13 聖王国の聖騎士 下

オーバーロード13 聖王国の聖騎士 下

 ネタバレあり。
 都市を包囲しているヤルダバオト軍の亜人たちが都市に対して攻城戦を仕掛けてくる。その城に押し寄せてくる亜人たち相手の都市防衛戦では激戦の戦場で奮戦するネイアが描かれていていいね。ネイアの戦場の中での成長や泥臭いの戦場描写で好き。ナザリックの面子が超越的な能力で無双するのも爽快だが、そうした特別に抜けた力を持たない人物の戦場の輝きが描かれてるシーンも好きだ。
 途中で出陣したアインズ一人の力で極めて敗色濃厚だった戦闘が勝利に変わった。そのことで民の間でアインズの声望がさらに高まる。
 防衛戦後にいったん魔法で本拠地に帰ったアインズは、デミウルゴスアルベドと今回の計画についての話をする。アインズは今回適度にミスをするから、それを適宜修正せよと述べる。そして、もしアインズがなくなった時にナザリックが機能するかという訓練に今回の作戦を利用する。
 アインズが再び都市に戻った後にヤルダバオトデミウルゴスが召還した憤怒の魔将LV84)がメイド悪魔を連れて都市に強襲してくる。
 都市の人々への演出として行われたアインズとヤルダバオトの戦闘でアインズがヤルダバオトに敗れて、森に落ちて行方不明という状態を作る。そしてヤルダバオトは深手を負ったからいったんお前たちは見逃そうといって帰っていく。
 その後、ヤルダバオト陣営だった藍蛆(ゼルン)という種族の者たちが囚われている王子を救ってくれるならという条件で対ヤルダバオトに協力してくれることになる。その救出作戦と同時にその都市カリンシャの解放作戦も行われる。そしてネイアは都市に潜入し王子救出作戦に従事することとなる。
 その作戦にはアインズとヤルダバオトの戦闘の最中に支配権がアインズのものになった(という設定の)メイド悪魔(シズ)も同行することになる。ネイアはシズのことを、あくまで戦闘中にアインズが支配権を手にいれたメイド悪魔だと思っているので魔導王陛下をアインズ様と呼ぶのをなれなれしいと注意する。それに対してシズが自慢げに私はアインズ様とお呼びするよう言われているというと、ネイアはそれにちょっと動揺しているのが面白い。こうしたやりとりで互いにアインズを非常に尊敬し心服していることがわかってシズはネイアを気にいり、ネイアはシズを信用できると思った。そしてこの時にシズからアインズが生きていることを知らされたネイアは安堵で泣く。

 藍蛆の王子救出作戦で行動を共にしているシズとネイアだが、ネイアがシズのすごさを感じている描写がいっぱいあるのいいね。この作戦でシズが大活躍、見せ場あり。
 シズがネイアに尋ねられて、ヤルダバオトの側近悪魔のことを話す際に、第十位階のことをカジュアルに話して、ネイアや第四位階魔法が使える藍蛆の王子が驚き、思わず待ったをかけて問いただす。そしてヤルダバオトが使った魔法が第十位階魔法で当然アインズも使えることをいう。そのことに驚きを示す両名に、呆れるシズ。そして王子が『第四位階で誇っていた我は一体……』(P410)としょぼんとしているのが面白い。
 そして端々でルーンを喧伝するために敵方がネイアがアインズから借りたルーンの入った武器を讃えるが、ことごとくスルーされてその目論見である宣伝はできずに終わっているのも面白い。
 そして側近悪魔を倒し、都市カリンシャは解放された。その都市解放に貢献した英雄となったネイアは魔導王の素晴らしさを民に説き、それもあって民の仲にアインズ信奉者がさらに増える。そしてアインズの信奉者組織ができはじめてきている。魔導王救出部隊と称するその団体に所属する人々は三万人を超えた。
 そんな状況下で南の貴族軍勢が援軍にきた。解放軍・南の貴族軍が亜人連合軍と戦うために進軍し、戦闘となる。両軍の戦意の差もあって優勢に進めていたが。ヤルダバオトが登場したことで戦況は一変する。ヤルダバオトの復帰で亜人連合軍は精強な軍になり、聖王国軍(解放軍、南貴族軍)はもうお終いという雰囲気が充満してしてきた。そんなところにアインズが帰還し、ヤルダバオトと再戦して勝利する。それで大勢が決して聖王国軍の勝利となり、そのまま首都の奪還まで行った。それを見とどけてアインズは魔導国へ戻る。
 今回の作戦でナザリックはヤルタバオトや亜人連合のせいに見せかけての金目のものの収奪で金銭的な余裕もできた。そして聖王国のカスポンドがデミウルゴスの手の者となり、聖王国内にネイアをトップとしたアインズ信奉者組織ができあがるなどの成果を得た。