ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン

 ゴブリンスレイヤーの新人冒険者時代の話。基本的には冒険者となった当初から変わっていないが、まだ細かいところに隙があるというのが現在のゴブリンスレイヤーとの違い。

 1章ではゴブリンスレイヤーの原点といえる、子供時代にゴブリン襲撃によって出身村を破壊された時の話と、後に師匠となる圃人(レーア)の老人との出会いが書かれる。
 襲撃から5年後、現在も拠点とする街でゴブリンスレイヤー冒険者登録をする。冒険者登録の時に対応してくれたのは新人だった頃の受付嬢ということのようで、ゴブリンスレイヤーの新人冒険者時代から付き合いなのね。
 冒険者登録をして冒険者となったゴブリンスレイヤーは武器屋で武装を整えて単独でゴブリン討伐に行く。
 彼の最初の冒険であり、最初のゴブリン退治は洞窟に棲み付いたゴブリン集団が相手。数時間洞窟前のゴブリン達を観察後、見張りがいなくなったところで突入しようとする。その際に松明をつけようとするが、そこで盾と剣を持つと両手が埋まって松明持てないことに気づいて、とりあえず剣でなく松明を棍棒代わりに使うこととした。実戦初めてだから仕方がないが、そうして戦いの前にミスに気づくゴブリンスレイヤーを見るのは新鮮。特に何時間も事前に観察するような慎重さは現在と変わらないのでなおさら。
 今は作業のように戦闘をしているゴブリンスレイヤーだが、そんな彼でも初陣は色々と失敗をしている。そのようにゴブリンスレイヤーが初陣で色々とミスがあったり、敵のゴブリン集団にホブゴブリンやゴブリンシャーマンがいたということもあって緊張感がある戦いとなっていて面白い。また新人時代のゴブリンスレイヤーの冒険を見ることで、本編のゴブリンスレイヤーが持つ対ゴブリンに関する豊富な知識はそうした失敗を通じて得られたものだということがわかっていいね。
 ゴブリンスレイヤーは初の冒険からの帰路に幼馴染の牛飼娘と5年ぶりに再会する。そして彼女に連れられて、現在も暮らしている彼女の伯父の牧場の納屋に居を構えることになる。牛飼娘は伯父の牧場に引き取られて5年経つが気持ちの整理ができていなかった。それもあってこの頃の牛飼娘は本編での彼女と大分印象が異なる。彼女にとってゴブリンスレイヤーと再会できたことが、前を向こうと決心する良いきっかけとなったようである。

 次に描かれるゴブリンスレイヤーの冒険は一人で襲撃してくるゴブリンたちからある開拓村を守るというもの。一か所守りに穴をあけてゴブリン達にそこを攻めさせて、ゴブリンスレイヤーはひとりでゴブリン達と戦う。雨の中でゴブリン集団との激戦がいいね。そして彼は村をゴブリンから守り切る。5年前故郷の村をゴブリンに蹂躙された少年が一人でゴブリン集団を村から守り抜けるようになったということは、ゴブリンスレイヤーにとっても一つの区切りとなった出来事となったのではないかな。
 そしてゴブリン退治の依頼ばかり受ける彼にはゴブリンスレイヤーというあだ名がつき、牛飼娘は髪を切って心機一転というところで終わり。