理想のヒモ生活 11

理想のヒモ生活 11 (ヒーロー文庫)

理想のヒモ生活 11 (ヒーロー文庫)

 ネタバレあり。
 今回は善治郎が船での北大陸行きが決まり、その出発までの準備などが書かれる。
 プロローグで宰相と元帥がそれぞれ任命される、それでプジョルが念願の元帥となる。そして善治郎はビルボ公爵となる。プジョルに知恵者の妻ルシンダという統御してくれる人がいるのは悪いことではないが、プジョルがさらなる権力拡大を狙ってルシンダがそれをフォローすることがあるならば厄介ではすまない。そのことをアウラはちょっと懸念している。
 善治郎は最初お飾りアピールで面倒事回避してきたが、色々と実績も増えてきたため『カープァ王国の王族として、過不足なく役割を果たすことができる程度の能力の持ち主。』(P34)と見られるようになった。
 今回ついに魔道具作成を早めることができる質のビー玉の作成に成功する。ビー玉鑑定をしたフランチェスコ王子はそれを欲しそうにする。そんな彼にアウラと善次郎は地球産のビー玉で秘密裏に魔道具作成してくれるように頼む。その頼みをフランチェスコ王子は快諾。
 頼んだ魔道具は、北大陸に船で移動することになった善治郎がいざという時に使うための「瞬間移動」と「空間遮断結界」の魔道具。そして船で安全に火を使用するためのちょっと特殊な「不動火球」の魔道具。そのように長い旅路を考えて安全だけでなく少しでも快適に過ごすための魔術具も頼むというのはいいね。
 『ビー玉の量産を進める。フランチェスコ王子の『魔道具を作成する魔道具』を黙認するその根底にあるのは、アウラが以前に言っていた、『きな臭さ』に対する懸念だよね?』(P177)善治郎の北大陸行きもその一環。
 そしてアウラはシャロワ王家の話や北大陸での話を聞いてみて『私の感じたきな臭さが本当に、我が国と双王国が歩調をそろえなければ対処できないほどの大火であると判断したならば(中略)その時はゼンジロウ。両国友好の証として、そなたにシャロワ王家の姫君を娶ってもらう』(P181)。
 一度善治郎はフレア姫の『黄金の木の葉号』に乗船して、船に持ち込む魔道具について話がなされる。その後、北大陸までの船に双王国のルクレツィアも乗船することが決める。
 善次郎は第二子の誕生を見とどけた後、護衛や侍女たちと共に『黄金の木の葉号』に乗船する。そして黄金の木の葉号が出航したところでこの巻は終わる。次回にはたぶん航海中の話が書かれると思うので、それも楽しみ。