本好きの下剋上 第四部 貴族院の自称図書委員4

 ネタバレあり。
 今回はエーレンフェスト領内での話。貴族院から帰って来てからのローゼマインの色々とやることが多い日常。いつものような本のための活動、シュバルツ達の衣装作り、下町整備の話、ハルデンツェルの祈念式などが書かれる。
 プロローグでは、ローゼマインとの婚約について父ジルヴェスターと話すヴィルフリートの話が書かれる。彼自身の将来に関わることだからシリアスに考えてほしいジルヴェスターに婚約をどうするかと決断を委ねられれば悩むし、その後にヴィルフリートの側近が良い話だと思えばそれもそうかと思いあっさりと婚約を決める。ヴィルフリートは年齢的に仕方のないことかもしれないけど、彼の流されやすさを改めて感じるエピソードだ。
 ローゼマインはシュバルツたちの衣装作りを進めたり、下町の商人や職人たちとの話し合いをしたり、祈念式に行ったりした。
 その後印刷事業のことでローゼマインやグーテンベルクの面々などはハルデンツェルに赴く。そこでハルデンツェルの祈念式に出席する。そこで歌われた歌を聞いたローゼマインは神殿長の聖典で見た覚えがあり、その聖典ではその歌をこうして歌っていたとギーベ・ハルデンツェルに教える。そこで聖典通りにやってみると魔法陣が浮かび上がり、翌日にはハルデンツェルの領地では冬の景色が消えて春の景色となった。ギーベ・ハルデンツェルは今までにない事態だと驚きつつも、失われた儀式を再び行ったことで起こった現象に喜ぶ。
 その後下町の整備を行う。ゴミを捨てるための場所を設けた後に、下町全体をヴァッシェン(洗浄魔法)を行った。
 また、突発的に護衛任務の実習を兼ねての採集を行う。そこでグリュンという魔獣が思いがけずあらわれた時の対応で騎士見習いや文官見習いたちの課題が色々とわかる。
 エピローグはアウブ・アーレンスバッハとその妻ゲオルギーネの領主会議後の会話。次期領主がレティーツィアと決まっているため、ディートリンデが次期領主として担がれないために傷持ちの領主候補生を彼女の婿候補として目をつけているという話がされる。
 巻末短編2編。「ハルデンツェルの奇跡」ギーベ・ハルデンツェル視点の話。ハルデンツェルは数年前は苦しい状況にあったのが、ローゼマインがきっかけとなって起こった物事によって色々と良くなってきている。それに加えて今回の祈念式の儀式を甦らせたことで、それまで何をしても増えなかったブレンリュースという貴重な素材となる実をつける木の芽が新たに芽吹いたことでギーベ・ハルデンツェルはさらにローゼマインに感謝する。
 「大改造を防ぐには」ギュンター視点の話。下町全体に効果が及んだ大規模な洗浄の魔法後の汚れの取れた綺麗な街並みを見た人々の反応がいいね。