魔法科高校の劣等生 20

内容(「BOOK」データベースより)

二〇九七年三月。あずさ、五十里、花音、服部、桐原、紗耶香という魔法科高校卒業生組メンバーが卒業旅行を企画していた。場所は、沖縄。折しも、雫とほのかが深雪と達也を誘った旅先―久米島沖の人工島『西果新島』竣工記念パーティーと同じだった。そして、達也と深雪も、彼らと旅先を共にする『ミッション』を課されていた。大亜連合軍を脱走した秘密工作魔法師のテロ活動の阻止。達也はこの作戦を未然に防ごうと、独立魔装大隊と合流するが…そこには、かつて敵対していた『予想外の魔法師』が同席していた。魔法科高校の卒業旅行、そして春休みのバカンスは、一筋縄ではいかない波乱の旅!


 ネタバレあり。
 今回、達也と深雪は真夜から命じられて沖縄へ行くことになる。四葉家の人間としての表向きの仕事とは別の任務があって、それは日本と大亜連合との講和を阻止しようとする大亜連合側の反対勢力の捕縛である。破壊工作を目論む反講和派がを捕縛するために、日本と大亜連合の両国軍が協力することになり、そこに達也と深雪も協力する。まさか味方になるとは思っていなかった相手との奇妙な共闘。こうした意外な人や勢力との一時的共闘という構図は好きだ。
 『達也はまだ、本物の感情を取り戻してはいない。それは死ぬまで取り戻せないものかもしれない。』(P35)と地の文で書いてあるが、そこらへんは今後も変わらないと思っていたが、「まだ」と書かれていうことはいずれ感情を取り戻すことになるかもしれないのか。まあ、そのあとで死ぬまで〜ともあるからそのままかもしれないが。しかし感情を取り戻したら取り戻したで、今まで持たなかった感覚を制御するのに手間取るだろうし、そうなったら当然ミスも増えるだろうから大変そうだな。
 しかし深雪は達也と婚約者となったからお兄様と呼べなくなったが、達也さんと呼ぶには恥ずかしいから、達也様と呼んでいるようだが、なんだかその呼び方は距離が広がってないか(笑)。
 今回の作戦に従事するメンバーは日本側は風間たちの部隊と達也と深雪、そして大亜連合側は横浜事変時に登場した呂剛虎と陳祥山の部隊というメンバー。
 達也は対象に想子マーカーを打ち込めば、彼の「眼」を使えばその相手が現在どこにいるかがわかる。その打ち込まれて気づける人が少ないことを考えれば、ひどく便利な能力だ。爆破テロ事件の調査で身に付けたものというが、ただでさえ強いお兄様がさらに強化される。
 達也たちが奇妙な共闘で講和反対勢力を捕縛しようとしている頃、一校の3年生組は卒業旅行で沖縄にきていた。他にも雫も親が人工島建設に携わっている関係で、旅行を兼ねて沖縄に来ていてほのかも彼女とともに来ている。そんないつもの一校の面々とともに達也と深雪が共に行動しているときに反講和派との接触があって戦い、そこで諸先輩がたの活躍が書かれる。
 人工島竣工パーティーに対する工作前に大きく戦力を削られた講和反対派の工作員たち。しかしなおもその工作を成し遂げようとする。しかし達也や藤林がいるのでどういう行動をしているのかがかなりバレているという悲しみ。
 今回は、先回り先回りで対処ができているから特に危ないという感じもなくあっさり事件が終息したな。
 最後の戦いでも一校の三年生男子陣の服部、沢木、桐原が参戦してくる。
 今回の作戦が終わって、帰りの船の中で陳祥山と呂剛虎が祝杯をあげながらも、次回にやつらとあうときは敵だと警戒を新たにしているのはいいね。
 オーストラリア軍が介入してきた裏の目的ジャズを捕獲させて四葉の関心を引き、彼女を通して内から四葉の秘密を得ようとする。その作戦も東道老人から真夜への忠告もあって不発に終わったようでよかった。
 あとがきで、当初は番外編でスポットの当たらなかった3年生メンバーの活躍を書く話にする方針だったということだが、そうした番外編読みたかった。今回達也たちは敵に対して万全の対策を行っているから、先輩方が助太刀で活躍という風には感じられなかったな。
 思い切って達也を登場させないとか四葉から少しだけ協力するにとどめよという命令があれば、ちょうど良く活躍できたかもしれないけど。それは流石に相手をなめすぎか、あくまで相手がなすすべもなく敗れたのは達也だったり呂剛虎が強いからだよね。
 何にせよせっかくなら先輩方がメインでちゃんと活躍する話を読んでみたかった。