民間軍事会社の内幕

民間軍事会社の内幕 (ちくま文庫 す 19-1)

民間軍事会社の内幕 (ちくま文庫 す 19-1)

内容(「BOOK」データベースより)
イラク戦争の際に登場した「民間軍事会社」は、究極の国家行為である戦争のイメージを大きく変えた。彼らの事業は、要人警護はもちろんのこと、戦闘地域でのロジスティクスから捕虜の尋問、メディア対策、さらには正規軍のカバーに至るまで多岐にわたる。その実態はどうなっているのだろうか。今なお拡大しつづける新ビジネスの全貌を、各企業や米軍関係者への取材をもとに描く。

『やつらは人質とるなんて面倒なことはしない。殺した後に死体を売るビジネスをはじめたんだよ。殺されたほうの家族は死体がないと生命保険を受け取れないだろう。だから高額を支払っても死体を買い戻すはずだとやつらは踏んでいるんだ。(32P)』死体販売なんて嫌悪感が、テロがビジネスの側面まで帯びているのが耐え難い。
民間軍事会社(PMC)でも直接的な戦闘をするのは少数派、PMCが提供するサービスの代表的な業務は

❖ロジスティック支援業務
戦略的海上および航空輸送から、基地の設営や食料・水などの供給など(69P)
❖兵器の修理・メンテナンス
現在既に米軍の善兵器システムの実に二十八パーセントのメンテナンスはPMCに委託されている(70P)
❖インテリジェンス、偵察、監視
インテリジェンスや衛星。航空監視、いわゆる通信傍受情報収集活動(SIGINT)や計測情報収集活動(MASINT)、それに心理戦や情報戦を専門としている会社もある。(70P)
❖地雷・不発弾処理

など、多岐にわたるさび素を網羅的に提供している会社もあればどれか特定のサービスに特化している会社などさまざま。
PMCが発展する要因となったイラク戦後の当地についても筆が割かれており、そちらにも関心があったので興味深く読めた。
5章では戦争広告代理店について触れられている、それについては高木徹『戦争広告代理店』を読んでからそのことが書かれたものをもっと読んでみたいと思っていたので面白く読めた。
『日本の外務省がODAの無償資金援助を適用し、英大手PMCのアーマー・グループ社に実際の訓練を委託したように、この分野でもPMCの活躍が目立っている。』日本も治安部門改革(SSR)の中の文民警察、警察機構再建のために日本も海外の活動でPMCと契約していたとは知らなかった。
7章で実際のジャーナリスト向けセキュリティ訓練に参加しているところを書いているところはとても面白かった。