ソードアート・オンライン 19

内容(「BOOK」データベースより)

アンダーワールドは、三百年に及ぶ争乱の果てに、ついに一つになった。どこからともなく現れた、たった一人の“ベクタの迷い子”が暗黒の神を倒し、この世界に平和をもたらしたのだ。しかし、そんな人界の中枢、白亜の塔“セントラル・カセドラル”にて―。“整合騎士見習い”へと昇進したロニエ・アラベルは、人界の最高意志決定者“代表剣士”キリトから、衝撃的な言葉を耳にする。「―いずれもう一度戦争が起きる」“アンダーワールド大戦”のその後を描いた“アリシゼーション編”最後を飾るエピソード!

 ネタばれあり。
 アリスがアンダーワールドから脱出した後、取り残されたキリトとアスナ。帰還までの間のアンダーワールドでの話で、アリスが現実世界に行ってから少し経ったくらいのお話で、ロニエ視点。
 熱素を利用した機竜で終わりの壁の外の世界に飛び出せないか試すキリト。彼は人界と暗黒界の土地の力のあまりの差が、いずれ争いを引き起すことを懸念していている。そして終わりの壁の外にまだフロンティアがあるのではないか、それを見つけることができれば彼らにも豊かな国が作れるのではないかという考えでそうした実験をしている。
 その話を聞いたロニエが月にも居住できる環境があって、そこにも人がいるのかと尋ねて、キリトが考えていなかったという風に驚いている。その描写から、キリトは現実世界のイメージから、この世界が球体で壁の外にも世界があるのではと考えたが、月に人が住めるかもとは考えていなかったことがわかっていいね。
 この世界の人間(ロニエ)からは、キリトの考えは頭が柔らかく考えてもみなかったことを教えてくれるもの。しかし、そのキリトの考えは別の世界の常識からくるもので、キリトにとってのロニエの質問も同じように考えてなかった可能性を教えてくれるもの。
 この世界には法に触れることはできないという制限があるのに、殺人事件が起こる。しかし犯人だと疑われたゴブリンの右目は何ともなっていない。
 色々とグレーなやり口があるとはいえ、そうした法が誰も破れない状態はディストピア的でもあるけど平和でもあるよね。まあ、グレーゾーンを利用した四皇帝の大乱という事件がアリスが現実に行ってから今回の話にいたるまでにあったようだけど。ちなみに、その反乱を鎮圧した後に、人界では貴族制が廃止されて、次元を切った年金(秩禄的なもの)を残したのみに変化したようだ。
 キリトは殺人事件の対処や犯人について話し合いをするために、機竜でオブシディアのイスカーンのもとへ行くことになる。そしてそれにロニエもついていく。そうしてイスカーンに非公式に会いに行った二人は、暗黒界の城下町に一泊することになる。そこで暗黒界の市井の様子も少し見ることができたのはちょっと嬉しい。
 イスカーンとシェータに例の殺人事件のことを話して、暗黒術師ギルドが関わっているのではないかという予測を伝えると、暗黒術師ギルドのかつての上位者たちの多くが行方不明になっていることを語られた。
 そしてキリトが滞在中にひと騒動が起きて、イスカーンとシェータの娘が誘拐される。その子は無事にとりもどせたが、犯人は逃してしまった。黒幕は他の者たちが知らないようなことを色々と知っているようで、それを利用して犯行をしていた。
 あとがきによると、次回はこの陰謀の黒幕と対決する予定とのこと。本編後のこの世界の話をさらに見ることができるのは嬉しい