続・終物語

続・終物語 (講談社BOX)

続・終物語 (講談社BOX)

内容紹介

“私、とっても幸せなのに――こんなの、全部嘘だって思ってる”
忍野扇との戦いを終え、直江津高校をとうとう卒業した翌朝。妹達の力を借りずに目覚め、「何者でもなくなった」阿良々木暦が向かいあう、新しい世界とは……?
彼ら彼女らの物語の――続き。これぞ現代の怪異! 怪異! 怪異!
僕達と、育ち続ける物語。
初回出荷限定付録『西尾通信』にて、2014年10月発売の新シリーズ『掟上今日子の備忘録』第一話を特別収録!


 物語シリーズ、ファイナルシリーズも遂に完結。しかし、ああ、終わったと感慨に浸る暇もなく、あとがきのすぐ後ろの巻末の広告ページにもう新シリーズが出ることが書かれているから、なんともいえない気分になる。そしてネクストシーズンは「接物語」というようだが、斧乃木余接の話かな?
 もう何度もシリーズが延長されてきたから、もう慣れたというかあきらめの境地に入ってきたわ。
 うーん、個人的には猫以降は、処世的というか、自己啓発的と言うか、世界との向き合い方みたいな話が前面に出てきているようで、いまいち物語的な面白みはそれ以前の作より弱くなっていまいち好みじゃないように感じてきたが、完結まではと読んできたので、ネクストシリーズどうしようかな。ゴールまで足を運んでみれば続きあるといわれてちょっと途方にくれている。BOXの価格でなく、文庫なら嫌いになったわけでもないのだから、そんなことに頓着せず読みすすめるのだけどね。
 最後の最後でも日常的な話とかで短編いくつもとか、エピソードいくつもとかでなく、怪異に巻き込まれて、それを解決するために動くことになるのは、とても阿良々木くんらしいわ。
 そうして怪異の現象に巻き込まれ、鏡の世界に入り込んだが、そのことをあらわすために台詞が左右反転して、鏡文字になったからひどく読みづらい。そしてそれが今後延々とそのままで続くのかとげんなりしていたので、それが20ページちょっとで元に戻り、鏡文字が終わって本当にホッとした。それでもただでさえ会話が多いこのシリーズで20ページも台詞が鏡文字で記されているので、ひどく読むのに苦慮してとても長く感じた。
 今回彼が体験した世界は裏――心残り――が表れている世界で、相互にはかなり矛盾しているが、その矛盾を気にも留めずに存在している。その世界で老倉育がとてもデレデレとしているのは、この世界のあり方を知ると、そこはかとないヤンデレ感を覚えてちょっと怖いな(笑)。
 表・裏、どちらも自分って話は、以前にもこのシリーズで出ていた気がするが、まあ、自制する自分も、社会的な自分も自分だしね。
 阿良々木は、神原から聞いた彼女の父の話を思い出し、神原の家の風呂で忍と交信ができるのではないかと思って、そこに侵入するが特に何も起きず、たどり着いてみてよく考えたら頼りない根拠にすがっていたことに気づき、そこに彼をこさせるために尽力した斧乃木ちゃんへ何もなかったけど、そのことを仕方ないと思わせる巧妙な説明がないか懸命に考えようとしているのは思わず笑った。
 臥煙遠江(神原の母)、まさかここで登場するとは思わなんだ。そして風呂で後輩の母と混浴している阿良々木くんはなんなんでしょうね(笑)。しかし神原がエロいことにオープンだったが、どうもこの母もそんな感じがするので親譲りのものだったのかな。
 そして阿良々木が、著者の他シリーズの主人公を列挙して、『あの辺の主人公連中とは別種なんだと思っていたけれども、どうやら僕もバラエティ班だったらしい。』(P215)とモノローグで語っているのは笑った。だって、メタネタ色々あったが自分の他作のメタがほとんど(全く?)なかったのに最後にこうやって来て、自分の主人公を「バラエティ班」と言っているんだもの。
 しかし普通に他の服を着ればいいのに、女子制服を着てしまう阿良々木くん、ド変態じゃないか。しかもそれをおかしなことをやっていると気づいてないのは、相当頭回ってないねえ。そりゃ扇ちゃんもあせるわ。