魔法科高校の劣等生 17

内容(「BOOK」データベースより)

司波達也と深雪の婚約が公表された。そこに、一条家より異議が申し立てられる。深雪へ、将輝との婚約を申し込んだのだ。一方、魔法科高校。達也と深雪に血の繋がりは無いという「建前」が公表され、生徒達はショックを受ける。とくにほのかは深刻だった。いつしか、深雪と達也は学内で孤立するようになり…。そんな中、世界中の魔法師が注目する十師族選定会議が開会され、VIP達が箱根に集い始め―その刹那、謎の爆発が会場を襲う。それは、魔法師による自爆テロだった。同じ頃、米軍最強の魔法師部隊の動き出しており…!


 巻頭に十師族の各当主のイラストが置かれている。あの狸っぷりから想像されるよりも七草父の外見若いなあ。そして九島真言は、思っていたよりもずいぶん老けているなあ。
 今回は達也と深雪が中心と言うよりも、彼らの婚約が起こした周囲への波紋、二人が四葉だということと「従兄妹」だったということと婚約したということを知った周囲の反応や動きについて書かれる。そのため二人が何か動くこと(アクションシーン)はない。
 そして結局、一条家の深雪への婚約の申し入れも、本人が婚約者となった達也がいる深雪が彼に惹かれたらそれは考えるという、チャンスを与えているけど可能性は0という前回クリフハンガーでその申し入れが行われたことが書かれてしめられたわりには、波乱の起こりそうもない結論でその話は終わったな。
 深雪が四葉の後継者になったことを知った一条父が息子の一条将輝に司馬深雪のことを尋ねて、その後すぐに彼女のことを好きならばと血の濃さを理由に婚約に異議を唱えて、将輝との結婚を申し入れた。深雪の話を将輝に尋ねて直ぐにそういう話をしたということは事前に息子が深雪に片恋知っていて、直接思いを聞いて、婚約を知って父親の前でその想いを吐露するのであれば助力しようと思って事前に計画だてていたということか。しかしその行動は一条家に何か思惑があるというよりも息子の想いを支援するためということのようだ。
 それに便乗して娘真由美の思いを聞いて、達也への婚約を申し入れさせようとするも、真由美は自分でもそういう感情を持っていることを意識しないようにしているために、その計画は断念。そして一条家と同じような申し入れをする前に、そして真由美が自分の達也への思いを決めかねているうちに、十師族会議で一条のそうした提案は正当性のないものとしてすげなくはねのけられることになり、それと同時に七草も隠していた失策を真夜に暴露されて影響力を落とすことになる。
 達也は四葉家との結びつきが強くなって、建前でなく本音で四葉の利害を考慮する必要が生まれた。そのため独立魔装大隊との関係も微妙に変わる。現状では変わらないが、以前よりも四葉の利害を考慮する立場になったことを風間に伝える。
 達也と深雪の兄妹が(表向きには従兄妹となったが)四葉ということを知って、学友や友人たちは、二人とどう接するべきかわからず関係が少しぎこちなくなる。達也は時が解決してくれると消極的な策を取ろうとした。しかし今まで積み上げてきた関係によって、友人たちは数日で元通り、今まで通り接するようになって無事にいつも通りの関係に戻る。
 幹比古や美月などは悶々とその事実とどう折り合いをつけるか迷っていたようだがエリカ(とレオ)の説得で蟠りを捨てることができて、普段どおりの関係に戻る。A組の方では、ほのかが四葉でなく「婚約」にショックを受けて、雫はほのかが気落ちしていることを心配していた。しかしほのかがそれでも達也のことを諦めないという決断をしたことでぎくしゃくさはなくなる。まあ、雫もいっているように諦めないという決断がほのかにとって良いことなのかというとあれだけど。
 久しぶりに七宝琢磨登場。
 達也の目標だった核融合炉構想は、半年以内に基本設計を終えられる見込みが立っていたのか。思ったよりずっと進捗していたので驚いた。
 達也が摩利に呼び出されて、真由美への感情を尋ねられたとき恋愛感情と言うよりは性欲の対象という表現をしているが、なんか達也は直裁というよりもそうやって露骨な物言いをしてぎょっとさせるのが好きな気がする。あまり踏み込ませないためにあえてそうしているのかもしれないが。
 「七賢人」の名前を使っているの、雫がUSNAに留学したときに知り合ったレイモンドだけか。
 師族会議では真夜が七草弘一と周公瑾との共謀関係だったことを暴露して、七草家が糾弾されて、このままだと十師族落ちの危機にさらされる。しかし十師族という枠組みを守るために(四葉と対抗できる七草が落ちると、四葉一強になってしまうことを危惧して)九島老がでてきて、その事件に九島家も関与していた自分たちが十師族を辞退するからそれで治めてくれといったのでその件はそれでとりあえずおさまるも、そのことが暴露されたことによって七草の影響力・発言力は弱まることになる。真夜はフリズスキャルヴでの情報収集で、そのことを以前から知っていたのだろうが、ここでそのカードを切るのか。七草は真夜のそうした情報収集を知らずに暗躍していた(と思っていた)のだからちょっとだけかわいそうでもあるな、まあ、結局は自業自得でしかないわけだから、ほんのちょっとだけど。
 七宝家が新たに十師族に入って行われた十師族会議の最中に、会議場がテロ攻撃されて、無傷だったものが魔法師にだけだったため、テロを起こした当人の思惑通りに、世間やメディアで魔法師は自分たちだけが助かれば云々という声が高まる。