理想のヒモ生活 7

内容(「BOOK」データベースより)

結婚式に出席するため、ガジー辺境伯領へとやってきた善治郎とフレア姫。そこで待っていたのは、ガジー辺境伯家次女と名乗る少女ニルダだった。アウラからの事前情報では、ガジー辺境伯家の娘はルシンダー人のはず。警戒感を抱く善治郎。その数日後に問題が発生する。ナバラ王国使節団の騎士ライムンドが、誤って立ち入り禁止区域に足を踏み入れてしまう。その一件をきっかけに事は次第に大きくなっていく。事態の悪化を回避するために、善治郎が奮闘。解決への協力をフレア姫に要請する。そのことで心理的な距離が近づいたフレア姫は、善治郎に対するほのかな恋心を自覚するのだが―!?

 ガジー辺境伯の娘とプジョル将軍の結婚式でガジー辺境伯の領土へと向かった善治郎とフレア姫。その結婚式には隣国の有名な将軍も出席して、そこで起こった小さなトラブルが下手をすると大きな問題(国際問題)の火種になりそうなことに気づいてしまった善治郎は、そうした万一でも大きな問題に発展しないように奮闘することになる。
 『今、フレア姫の前にいる肉竜が平均的なサイズなのだとすれば、肉竜は猪より、二回りから三回りぐらい大きな生き物だということになる。』(P9)巻頭のカラーのイラストを見る限りもっと大きいような気もするので、いまいちどのくらいの大きさなのかわからない。
 ガジー辺境伯領へ向かうまでの道中で善治郎とフレア姫は交友を深める。現代的な平等感を持つ善治郎に本格的に惹かれていく。しかし彼女、今までは見た目とは違ってちょってちょっと黒い策謀家、政治家という印象だったが、今回で案外無邪気な素顔もあるのだということがわかって印象が上向いた。これなら後宮でも気を張ってなければならなくなるということもなさそうでちょっと安心。
 プジョル将軍の結婚式に出席した辺境伯領と接する隣国のナバラ王国の将軍マルティンナダル将軍と将来有望な騎士長クリスティアーノ・ピントら。
 魔法の行使には正確なイメージが不可欠だから、身の危険が迫っている戦場などで魔法を行使するには相当な胆力が必要。瞬間移動の魔法、一度行ったところならそこまで転移することが可能となる。そのためアウラ王女は、使い捨ての瞬間移動の魔法具を作ってもらって、それを持たせて万一でも安全な体制にして、善治郎をフレア王女と共に北大陸へ向かわせることを検討中。
 立ち入り禁止区域(といっても言えば入れる程度の大したところではないが)に立ち入ったナバラ王国のモブ騎士。ガジール伯の次女ニルダが(もともと村で育ったため、貴族の作法が身に染みついていないたえに)直裁にそのことを指摘したので、とっさに騎士はそれを否定して、それが揉め事になる。
 彼女が何らかのミスで貴族名簿に記載されていないことを知って、そのことでこのごく小さな問題が大事になることを防ぐために善治郎は色々と立ち働くことになる。
 一方、ガジール伯とマルティン将軍はそんなこととは露知らず、息子と騎士クリスティアーノに経験を積ませる良い機会だと思い、その揉め事を利用しようと思っていたので自分たちで動いて早々に手打ちにしないでいた。
 問題の行為を目撃したときにフレア姫もニルダと同行していたが、女だからといって証言が信用されないことを腹立たしく思っていたフレア姫に頼み、彼女に表に立ってもらうことで対処することになる。そうして真実を明らかにした上でなかったことにして、後日ニルダのことが明らかになっても何かいえないようにしようとした。
 ただ、そうすると貸しを作ることになるので善治郎は迷ったようだが、フレア姫本人は腹に据えかねていたということもあり、ノリノリでやってくれる。そうしてこの揉め事はフレア王女の舞台と化す。
 ガジール伯による審判の場では、善治郎が嘘をついている証拠を劇的なやり方で明るみに出すことで、真実を白日の下にさらしたことで決着がつく。やったことないのでイメージだけど、逆転裁判みたいな感じ(?)だろうか。
 善治郎はフレア王女が自負を持っている分野の能力(夜目の能力など、戦士としての能力)について、相手が部下の騎士を弁護する際に疑問符をつけたことに対しても謝罪を要求して頭を下げさせた。
 クリスティアーノ騎士長は有能だがプライド高いので、戦士でないことを堂々と言っている善治郎に頭を下げたことを屈辱に思い、無礼な態度をとる。そのことでプジョル将軍にねじ込まれて大変な目にあわされそうになるも、マルティン将軍が即座に頭を下げて、ガジール伯も娘婿となった将軍に揉め事を起こすなと目で語り、善治郎がとりなしたことで何とか何を逃れる。
 道中でのフレア姫との接し方が女だからと下に見るものではなく、また今回の揉め事も最初から腹に据えかねていたが、迷惑をかけられないとおさめていたところに責任持つから主張してくれというものだったので願ったり叶ったりの願いだったし、最後も自負のある力量を疑った騎士長に謝罪させた。それらのことでフレアは彼に打算ではなく、明確な恋愛感情を抱くことになった。