ゴブリンスレイヤー

内容(「BOOK」データベースより)

その辺境のギルドには、ゴブリン討伐だけで銀等級にまで上り詰めた稀有な存在がいるという…。冒険者になって、はじめて組んだパーティがピンチとなった女神官。それを助けた者こそ、ゴブリンスレイヤーと呼ばれる男だった。彼は手段を選ばず、手間を惜しまずゴブリンだけを退治していく。そんな彼に振り回される女神官、感謝する受付嬢、彼を待つ幼馴染の牛飼娘。そんな中、彼の噂を聞き、森人の少女が依頼に現れた―。圧倒的人気のWeb作品が、ついに書籍化!蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー、開幕!


 1冊で完結になりそうな終わり方だが、2巻がでることが早速決まったようで嬉しい。
 ゴブリン退治は駆け出しの冒険者が引き受ける仕事であるが、ゴブリンは弱いけど数も多いし狡賢いからしばしばそうした駆け出しは弱いというイメージで甘く見て倒されてしまう。そのように、この物語のゴブリンは駆け出しはちょっと運悪ければやられるという存在。しかしゴブリン退治の依頼は数は多く報酬も美味しくないので、ある程度経験を積むとゴブリンと闘わなくなる。
 そんな中で過去にゴブリンたちに住んでいた村を壊滅させられたことで、対ゴブリンに特化した経験豊富な冒険者となった特異な存在であるゴブリンスレイヤーの物語。
 そうした冒険が綺麗な戦いでなく、運悪けりゃそれで終わりの、泥臭い殺しあいであるという殺伐具合もわりと好き。
 この物語の登場人物はゴブリンスレイヤー、女神官、妖精弓手、蜥蜴僧侶などで呼ばれて、個人名はでてこない。
 作中にも彼は神にサイコロを降らせなかったとあるように、ゴブリンスレイヤーは万全の準備をして、周囲の環境なども利用した戦略を立てるなどをすることでひたすら効率的にゴブリンを倒していく。
 神(GM)が用意している戦闘シーンがあると他の冒険者はサイコロをふって普通に戦闘をしているのに対して、ゴブリンスレイヤーは効率的な、ともすればえげつないやりかたで、自分に有利・相手に不利な戦闘に持ち込んだり、戦闘に入る前の段階でゴブリンを処理しようとする。
 そうしたゴブリンスレイヤーにひいたりもするパーティメンバー。
 他のモンスターの行動には合理的な理由があるが、ゴブリンは生物への悪意から行動する。そうした駆け出し冒険者が相手にするようなモンスターだが、薄ら寒くなるような設定があるのか。そうした謎めいた設定いいね。
 まあ、登場人物たちにとって不気味なだけで、この物語の上位世界で神たちがサイコロで勝負しているのだから、神々の都合上からそうやって湧くようになっているだけどね(笑)。
 ゴブリンスレイヤーは一人でゴブリン退治する熟練冒険者だったが、ゴブリン退治で危うく死に掛けた女神官を助けた縁もあって、彼女とパーティーを組むことになる。そしてこの物語の世界観や日常の場面が描かれる。その後に主人公の評判を聞き、大規模なゴブリンを討伐するのを助力するように妖精弓手らが依頼したことがきっかけでパーティーメンバーとなる。ゴブリンスレイヤーは幼馴染の牛飼娘が暮らす牧場に寄宿していたが、そこの周囲にゴブリンの大軍の襲撃がくることが予期された。その襲撃を他の冒険者の協力を受けて防衛することになる。そしてこのことで自分に力を貸してくれる人々がいることを知って、彼を強固に縛り付けていた過去のトラウマから少し解放される。