ゴブリンスレイヤー 4

内容(「BOOK」データベースより)

「ゴブリンよりは、よほど危険だ。だが魔神どもとは比べるべくもない」国王署名入りの依頼「悪魔の塔」の討伐に重戦士、槍使い、ゴブリンスレイヤーの三人が挑む―。「ね、ぶらぶらしよっか」ゴブリンスレイヤーのいない休日、牛飼娘は女神官と街を散策する―。「見てなさい。私が世界の一つ二つ、救ってあげるから!」妖精弓手は冒険のない日、受付嬢の提案で、聖騎士を演じる―。「森人と一緒に冒険に行けぇ?」種族を超えた共闘、これは彼と出会う前の三人の冒険―。辺境の街で紡がれる、十の物語。

 ネタバレあり。
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 今回は短編集ということで、色々な視点でこの物語世界の話が書かれていて面白い。
 「第1章『新米戦士と見習い聖女のお話』」では、新米冒険者たちの楽ではない生活の様子を見ることができる。この短編に出てくる新米冒険者のように下水道で経験をためる方が、ゴブリン相手よりも堅実な立ち回りなんだろう。しかし下水道で巨大黒蟲との戦闘や、汚物にまみれて装備に臭いがつくことなどを考えると、さっさとゴブリン退治を挑もうとする新米たちの気持ちもわかる。
 悪臭のついた装備を土に埋めて消臭を試みるとか、そうした冒険者としての工夫・豆知識があるのは、生活感みたいなものがでるから好き。
 「第3章『酒場の女給のお話』」冒険者ギルドの酒場で働く女給視点の話。ゴブリンスレイヤーがそこで飯を取らないのが気にかかって、何とか食べさせられないかと試行錯誤する。最後に彼が食べない理由がわかって納得する。
 「第4章『ありふれたゴブリンの巣のお話』」ゴブリン視点。ゴブリンの残虐さと、この世界のありふれたしかし重い悲劇が書かれる。
 「第5章『彼がいない日のお話』」牛飼娘。伯父にたまには遊びに行けと勧められて、街に出て女神官、受付嬢と冒険者の卓上演習で遊ぶ。この世界の神もTRPG的にこの世界を遊び動かしているのだから、彼女らは期せずして神の真似ごとをしていることになるのか。
 「第6章『悪魔に見せられし魔宮の滅亡するお話』」重戦士、槍使い、ゴブリンスレイヤーの男三人で冒険することになる。突如出現した遺跡「悪魔の塔」の外壁に楔を打ち込みながら登攀して、そうした侵入者を攻撃するガーゴイルは羽ばたいて浮かべなくして重力で倒す。そして頂上に登った後にそこにいた邪悪な魔術師に対しては、相手の口上の途中に容赦なく先制攻撃をくらわすゴブリンスレイヤー。そして槍使いが使用した粘糸の魔法で捕縛、不死といっているがどうしようと少し悩んだが、塔の頂上から突き落として無事ボスを倒すことに成功。この落下ダメージで敵を倒していくのは面白いね。
 「第8章『妖精弓手のぐだぐだとした休日のお話』」ごちゃごちゃとちらかった部屋で暮らす妖精弓手。受付嬢と過ごした一日。
 「第9章『三人の数ヶ月くらい前のお話』」妖精弓手、鉱人道士、蜥蜴僧侶の三人がゴブリンスレイヤーの下に来る前の、三人の初顔合わせ時のエピソード。そして下級魔神相手を相手にして行われた初めての三人での共闘の様子が書かれる。
 「第10章『往って帰って来たお話』」ゴブリンスレイヤーの冒険後の日常。収穫祭の少し前の日の一幕。彼も以前と比べていろいろな人との付き合いが生まれているということを感じさせる短編。しかし幼馴染の牛飼娘への誕生日プレゼント、何を買えばいいのか分からないから現金そのままって(笑)。