理想のヒモ生活 4


内容(「BOOK」データベースより)
ついにフランチェスコ王子とボナ王女が来訪する。朗らかに笑いながら、トラブルを連発するフランチェスコ王子と、その王子に代わって頭を下げて回る、生真面目で気弱なボナ王女。軽率な言動を連発するフランチェスコ王子に、善治郎は振り回されがち。そんな日々を過ごしている善治郎に、ある日、衝撃的な報告が入る。愛息、カルロス・善吉王子が発病。しかし、貴重な魔道具『治癒の秘石』の使用は認められない。そこに、フランチェスコ王子が「自分が持っている『治癒の秘石』をカルロス王子に使ってもよい」と提案してくる。そこでフランチェスコ王子の「血筋」が明らかになる―。

 Web版では一応毎回流し読みであるが読んでいるが、この本は巻末の侍女たちの短編が楽しみで毎回購入しているなあ。
 ボナ王女、血が薄くても能力が発現したならば王族になれるのか、王族の家は王にどれだけ近しいか血縁関係かということよりも魔法の能力こそが肝要というわけか、まあ基本的には王に近いほど能力も安定して高い水準になるのだから、血縁と能力は≒の関係だろうけど。
 アウラと善治郎が、携帯音楽プレーヤーで音楽を聴いているシーンは、こうした現代の日本から持ち込んだものでアウラがしっかり楽しんでいるのがまたいい、そして横目で善治郎を見やっているアウラのイラストも素敵だ。
 フランチェスコ王子、蒸留酒の果実カクテルで思いっきり酔っ払って歌っている、レディ・キラーならぬプリンス・キラー?(笑)
 そして魔力総量は、フランチェスコ王子と善吉が100だとすると、アウラが75くらいで、善治郎そしてボナ王女が50くらいか。
 幕間の肉食竜退治の、プジョル将軍とチャビエルの話は応急とは雰囲気がガラッと異なるから面白いのだが、こういうのが描かれるとそのうちもっと大事(いやラストから分かるように既に大事ではあるが)になったり戦乱になったりするかもしれないか不安になるぜ。まあ、タイトル的にそんな方向がメインには舵取りしないと思うが今でも結構タイトル詐欺になってきているからなあ。しかし今回でプジョルが戦場では役に立つということはわかった。あとチャビエル、不測の事態に備え物資の補給ルート確保しておいたのはいいね、順調に言ったら無意味だから賛否が分かれると書いてあったが、この場合は順調に行くと楽観して備えないのはおかしい(「クリスマスまでには戦争は終わる」レベルのフラグだ)から、プジョルが賞賛するのも当然のことだ。
 フランチェスコ王子の買い物シーンで、商人が前の巻で言及されていた、善治郎の持ち込んだ4つ穴ボタンを既に商品化してたのか、こうして善治郎の持ち込んだ物品に刺激されて、それを作ったり、あるいは新しいものができたりしているのは見ていて楽しいよ。
 善治郎、ボナ王女へのやらかし、あかんわ。彼の失態は読んでいて苦しい。
 ゼンジロウを怒らせたときに機嫌をとるものがないというのは、確かに国政に支障が出るクラスの人がそうなら、賢明な人なら怒らせないようにするわな。それを読んでふと思ったのだが、そうした何が欲しいのかわからない人というのは、そうやって執着しないことによって、粗略に扱われぬように仕向けているといったら言葉は悪いが、まあ、そうした扱いが慎重になるような効果があるのかな。
 「付録 主と侍女の間接交流」侍女とゲームしてハイスコア抜かれたら菓子を下賜するという習慣はまだ続いていたのか。しかし、もって来た量が少ないからもう残弾残りわずかのようだが。しかしゲームしている、この3人組が『ゼロの概念』と『マイナスの概念』を理解し始めているというのはすごいわ。そして善治郎が汗臭いのを嫌がり、香油の匂いも嫌がるのに気づいて、水浴びを頻繁にして着替えることが習慣付けられるようになった、そういう些細な変化というか主の我慢に気づいて、それを改善するとは流石プロだな、この3人を見ているとそういう気分にはなりにくいが(笑)。
 しかし台車が無かったが非常に便利だから、台車を生産できないか侍女長は出入りの商人に相談しているということだが、前回のボタンのように、台車のような思わぬものの有効性がこの世界の人に見出され、生産できないかを検討されるというのは面白いな。
 そして水まきが楽になるような道具がないか、善治郎に尋ねてみようかとエミリアは考えているが、なんか役立ちそうなものってあったかな?