魔法科高校の劣等生 18 師族会議編(中)

内容(「BOOK」データベースより)

世界中の魔法師が注目する師族会議は、何者かによる自爆テロによって幕を下ろした。この残酷な計画は、死体を操る魔法によって引き起こされていた。使用された魔法を手がかりに、黒幕を追う達也。そして、「四葉家の司波達也殿がお前と同様、十文字殿の下で捜索に加わる。将輝、意地を見せろよ」そう一条剛毅に発破をかけられた将輝は、『テロの黒幕』捜査メンバーである達也に対抗するように東京へ向かう。深雪に『婚約』を申し込んでいる彼は、思い掛けない手を使って深雪にアプローチを試み…。

 今回の事件が色々な人を巻き込んだ大きな出来事ということもあって、色々なキャラクターもでてきて、いいね。それに最近なんか飛ばし気味でストーリーが進行している印象があったが、今回はそうした感じがなくていいね。なんというか、こうした色んな人の思惑がありながら、それぞれが行動していることが伝わってくる物語が好きなのかもな。もちろん物語の中心は兄妹だけど、いろんな人が独自に考え・動くことで、事件にほどよくわちゃわちゃ感が生まれて、そうした様相となっている事件全体を書いているのが好きなのかもな。
 最近は司馬兄妹の物語ばかりが強すぎるから、もしかしたら、そこで何か変わったとか飛ばし気味だと感じていたのかもしれないな。
 テロと魔法師嫌いの連中をあおって十師族・四葉家を追い詰めようとする顧傑。それに対して十師族側は主犯である顧傑を自ら捕らえることで、そうした世論の八つ当たりの批判を無効にしようとして、独自の操作・捕縛チームを結成。その本体とは別に、新たに十文字家の当主となった十文字克人、司馬達也、一条将輝七草真由美で構成する少数精鋭のチームも作られた。しかし司馬達也(というか四葉)が、独自に居場所をつかんで捕縛しようとするなど、そのチームに意味があるのかは現時点では微妙というか情報交換会程度にしかなっていない感がするな。
 七宝が3年後に映画に出演することになるとあって、この物語でどの程度の動乱などが起きるか(それとも横浜騒乱編が一番規模が大きい事件となるのか)はわからないが、最終的には3年後には十師族の一員の嫡男の彼がそうした映画に出れるほどに安定していることは確定か。
 深雪、達也の上着を脱がせるときに真由美の香水の残り香を嗅ぎとっているが、べたべた接触していたわけでもなく、そんなに香水きついとも思えないのに嗅ぎ取るとはすごい嗅覚。んー、設定がどうだったか忘れたけど魔法師って、そうした感覚が鋭敏とかの設定あったっけ(笑)。
 レイモンドは七賢人で唯一フリズスキャルヴのアドミニストレーター接触できて、他の使用者に使わせないようにできるのか。ふうむ、そうした話を読むとフリズスキャルヴについての話などもちょっと気になってくるな。
 不穏な世論の動き、それでピリピリしてる魔法科高校の人たち。
 そんな情勢の中でテロの首謀者顧傑が四葉への恨みで行動し潜伏していて、顧傑を捕まえるため調査している陣営でも警察の他に、独立魔装大隊だか軍が動いているし、それ以外にも十師族、米軍も捕縛・捕殺に動き、四葉もそっちの方が手っ取り早いし秘密保持的にもいいと考えているからか独力で捕らえようとしているし、そのように色々な陣営の思惑・行動が入り乱れている感じがいいね。
 それで四葉と米軍がかち合って、というか米軍が自分が捕らえようとするあまり四葉を妨害して肝心の顧傑を逃がすことになる。同じ目的の陣営との競合などの要因に翻弄されて、この事件に苦戦する。一対一とか単純な戦闘なら、達也は楽勝だろうし、あんまインフレしていくのもあれだから、こうやって別のところで事件を難しくさせるのは、何が起こるのかわからなくなってワクワク感がでるから、いいね。
 しかしその惜しくも顧傑を逃したときに、達也と黒羽姉弟が共同して作戦を実行する姿は、四葉が達也を当主真夜の「息子」で次期当主深雪の婚約者とする前までは達也と四葉が激突するのかもと思っていたので、そんな共闘シーンが見られるとは考えていなかったから感慨深いな。