ゴブリンスレイヤー 6 ドラマCD付き限定特装版

 ネタバレあり。
 今回はゴブリンスレイヤー、女神官、今回登場の少年魔術師が過去を乗り越えて成長するというお話。
 子供時代のゴブリンスレイヤーが暮らした村の跡地に新しく冒険者の訓練所が建てられることになる。前回登場してゴブリンスレイヤーたちと共に戦った令嬢剣士の支援で訓練所が作られる。彼女は冒険者としての道はあきらめたようだが、こうした冒険者への支援という形で魔物との戦いを続ける。
 春、新しく冒険者になる者も多い季節。新しく冒険者登録をした少年魔術師は、パーティも組んでいないのにゴブリン退治以外したくないと息巻く。受付嬢からそれを聞いたゴブリンスレイヤーは「馬鹿げている」と述べた。ゴブリンの脅威をわかっているからの言葉でもあるが、『受付嬢が何ともいえない味わい深い表情をする。』(P69)のもわかる。ゴブリンスレイヤーは、ゴブリン退治に意欲あってもゴブリンを危険さを分かっていない少年魔術師に釘を刺していく。
 少年魔術師をパーティーに加えて一度冒険に赴く。前回もそうだったがパーティー内に一人新人を入れて、その人物が現在のパーティーメンバーがしないミスをさせることでちょっと面倒な場面になる。現在のパーティーだと盤石過ぎて窮地になりにくいから、新人を入れてその人物が危ないという状況にさせているのかね。一人慌てる人間がいることで、現在のパーティーの盤石さや凄さが改めてわかる。
 ゴブリンスレイヤーは、トロルを火で熱してから火の秘薬(硝石)と水で熱を奪う。そうすることで岩でできたトロルの身体をひび割れさせる。以前に水の街で氷菓子の作り方を聞いていたが、その原理を冒険で使用するとは思わなかった。ゴブリンスレイヤーの探究心の強い一面を見せるためのシーンと思っていた以前の何気ないシーンが意味を持ってくるのはいいね。
 冒険を終えて少年魔術師から彼がゴブリン退治を望む理由が明かされる。姉が冒険でゴブリンに負けて亡くなり、それを学校の連中から侮辱されたことが、彼のゴブリン退治への執着につながっている。少年魔術師の姉は、おそらく女神官の最初のパーティーの仲間。
 新しくできた訓練場で励む新人冒険者たちと、彼らを鍛える先輩冒険者たち。鉱山道士は少年魔術師に、呪文は真言を組み合わたもので、それぞれの真言だけでも使いようによっては利用できることを教える。
 訓練所へのゴブリンの強襲。ゴブリンスレイヤーたちと槍使いと魔女と共にゴブリンの本陣を探って叩きに行く。女神官はゴブリンは街へ帰る途中の新人たちも襲っているだろうということを指摘。女神官はゴブリンスレイヤーと別行動で最近交友を深めた少年魔術師ら新人冒険者たちと、街へ帰還中の他の新人冒険者たちと助けに行くことになる。
 その撤退戦で少年魔術師は、鉱山道士に教えてもらった真言単体に分けての使用をして、大音声でゴブリンをひるませてその隙に街へと撤退する。あれほど望んだゴブリン退治よりも撤退を優先する魔法使用をするという成長を見せた。
 今回のゴブリン襲撃事件が終わる。女神官はそれまでゴブリンスレイヤーら上位冒険者たちとの冒険ばかりだったので昇級が見送られていたが、撤退時に指揮をとったことで等級が上がる。そして少年魔術師は撤退戦でゴブリン退治への執着という憑きものが落ちて、同じく新人冒険者の圃人(レーア)の少女と共に旅に出る。